昭和女子大学 現代教育研究所

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オープンラボ2019「教科をこえる、社会にひらく!共創する学びのつくりかた」(2019.特別号メルマガ)

2019.04.26

こんにちは!現代教育研究所所員の青木です。今日は2月24日(日)に行われた現代教育研究所オープンラボ、「共創する学びづくり」をテーマにデザインしたポップでディープな一日をご紹介します。さあ、どうぞご一緒に。

基調講演:「小さな物語を紡ぐとき~〈足思手考〉が教えるフィールドからの学び」
講師:藤原惠洋(九州大学大学院 芸術工学研究院 環境デザイン部門・教授)

日本一大きな建築史家、九州大学大学院教授、藤原惠洋先生の「基調講演」からスタートです。学びの主人公である生徒たちを、「どうしたら学びの楽しさ・意義深さに誘い出すことができるのか」、参加の皆様方を思いっきり挑発してほしい。そんな私たちの願いをひきうけ、藤原惠洋大博士のスナップショーが始まります。「パンハタダ」「窓の三段階進化」…などなど。<足思手考>で発見された路上のスナップショーの混沌世界に巻き込まれ、皆は感動したり、唖然としたり…。ところどころに入る大博士の謎解き。それは、説明ではない、路上の小さな物語。足思手考しながら出会うモノへの驚き・喜び・感動・共鳴…。「足下を掘れば宝物が在る」のゲーテの言葉を彷彿とさせる大博士のスナップショー。インスパイヤーされた私の中に浮かんできたのが詩人ノヴァーリスの言葉、「見えるものの向こうに見えないものを、聞こえるものの向こうに聞こえないものを、触れるものの向こうに触れないものを」。アートやデザインの力、ポテンシャルについて大博士は語りたかったのかもしれません。いたずらに論理的な解答を求めず、五感に基づく感性や感受性を大切にしようと。観察行為、いえ、やわらかく言うならば「世界を見つめる新たなまなざし」、それこそが今教育の世界に大切なのだ。そう大博士は伝えたかったのです、きっと。ささやかな日々の生活のなかの「センス・オブ・ワンダー」を仲間とわかちあい、そこからまだ見ぬ新たなものを生み出していく、そんな価値世界の創造こそが、私たちの目指す「共創」なのかもしれません。
私たちが挑戦している「コクリ=Co-Creative Learning」において大切にしている「半径五メートルの世界からはじめよう」と響きあう藤原大博士の「路上探偵」の活動。それは、「想像力」「創造力」を身につけることによって、新たなまなざしを手にいれることができるという勇気をいただくレクチャーでもありました。「小さな物語」とは、ささやかな日々の生活そのものであり、同時に、そこから課題や問いを見つけ出し、私たちにできることを見つける冒険の物語を紡ぐことでもあったのです。

共創する学びの実践「Co-Creative Learning Session「衣から紐解く私たちの暮らし」」(昭和女子大学現代教育研究所×昭和女子大学附属昭和中学校・高等学校)
現代教育研究所所員の緩利誠と青木幸子がナビゲーターとした「2018コクリの冒険」の紹介です。

はじめに~「コクリってなあに?」~

コクリは「Co-Creative Learning Session=共創する学び」の愛称。このコクリは、毎日の生活の中でたくさんの「?」(はてな)を見つけ、仲間と一緒に冒険する「学びの旅」。コラボレーティブな活動を通し、「世界を見つめる新たなまなざし」を手に入れる、これがコクリの醍醐味。今回のコクリは「衣から紐解く私たちの暮らし」。さあ、コクリの冒険話、スタートです。

「衣を巡るコクリの冒険」~冒険の旅の物語~
Kick Off「衣と聞いて思いつくことは?~衣の世界への誘い~」

キックオフの山場は「衣をめぐるニュースショー」ラインナップは「量産型女子」「エシカルファッション」「ヒートテック」。インタビュアーや専門家になりきることで、衣世界へのモチベーションが一気にドライブ。

Session 1「私たちの服はなにからつくられている?~衣(繊維)をひも解く科学の魔法~」
「衣服のタグからわかること」。各自が調べた洋服のタグから分かることをグループごとにリサーチし、繊維の種類や産地をまとめてデータ分析。「ペットボトルから繊維を作ろう」ワークを経て、最後は「繊維の特性を生かした私のおすすめファッションつくり」に挑戦。

Session 2「魔法少女は天の羽衣を身にまとうか?~衣装で読み解く古典文学~」
「天の羽衣を着ることが意味するものは?」最初の話題は竹取物語、そこから平家物語「那須与一」、さらにはナチスドイツの軍服へ。「ある服を着るということは、ある集団に属する人間になることを意味する」、そんな「服を着る意味」を哲学することに夢中になる私たち。

Special Session「糸紡ぎ&染色ワークショップに挑戦!」
東京コットンビレッジの富澤拓也さん、佐々木理恵さんのご指導のもと、「糸紡ぎ&染色ワークショップ」はスタート。「綿繰り」作業から「綿打ち」そして本番の「糸紡ぎ」。言葉少なに没頭し出来あがった「平織り」にあがる歓声、綿から紡いだ世界で一つの私の織布。

Session 3「ファッション業界の光と影とは?~ファッションリテラシーの獲得~」
「最近買った服は?その服を買ったのはなぜ?」からスタートし「Fashion Industry」の現状にアプローチ。一枚の洋服の向こうにある世界、そこで働く人々の姿に声を失う私たち。一枚の衣を巡る深い世界を知り、「あしたは何を着よう」、本気で考えはじめる私たち。

Session 4「地域資源を活かした服飾デザインとは?~サスティナブル×ワクワクする服の共創~」
地域リソースを活かしたファッションへの挑戦を学んだ後、初のクリエイション「サスティナブル×ワクワクする服を自由な発想で共創する!」にチャレンジ。いらなくなった服、布地の切れ端を素材に、ペルソナづくりから紡がれた物語をもとにリアル・クローズを創造。

Session 5「ファッションを哲学する?~衣を纏う意味の探究~」
「ファッションと聞いてイメージする言葉は?」とまずは最新パリコレ映像から。そこから「魔女の宅急便のキキはなぜ黒い服を着ているのか?」を考え、「シンデレラ」を手がかりにして「ファッションの魔法」へ。「ファッションって何?」を深く考えるレッスンでした。

Our Project「衣冒険プロジェクト成果発表会」
「衣の世界は面白い」。夢中になって取り組んだ衣の冒険ショータイム。トップバッターは「着物リボーン」。着物をこよなく愛するメンバーが、着物のステキをアピールしようと「着物リボーン」に挑戦。
続くは「未来繊維」チーム、海の魚が語ります。「最近海が汚れて困ってる…」と。そこからストーリードラマで展開する「人と環境と繊維の関係」と科学者たちの挑戦。
中学生最後は「フューチャークローズ」。ファッション大好き少女が未来にタイムスリップ。そこでみたのはディストピア。人を幸せにしてくれる未来服を求め、今日も少女たちの挑戦は続きます。
大学生チームも応えます。「思い出保存プロジェクト」、一枚の洋服をめぐる私の物語に気づいたとき、決してその服を捨てることはできない。服の記憶にフォーカスしリメイクレッスンがスタート。
最後は教師チームのエキシビション「カンガを~巡る旅スワヒリの風に吹かれて~」。東アフリカの布、カンガをめぐる旅。そこで出会った一枚のカンガ。カンガが語る物語、それは、遠い昔、アフリカで井戸掘りに行き命を失った一人の青年の物語。

Reflection「衣を巡るコクリの冒険を終えて~クルーたちの言葉~」
コクリ冒険を終えてのクルーたちの言葉。たくさんでてきたものが次のワード。

最後にコクリ・ナビ

やっぱりコクリは面白い!衣の冒険を終え、改めて私たちはそう思うのです。「どこにもない新しいもの」を創り出す、それはとてもスリリング、だけど、とっても難しい。そこにヒントをくださったのが専門家=マスターたち。強烈な個性と知的ユーモア、そんなマスターの肩に乗り、私たちが眺めた世界は、驚きと発見の連続。今はまだ見ぬモノ・人・コトに出会うため、自分の足と手、そうカラダ全部を使って歩き出す、そんなコクリの冒険。次の旅、実はもう始まっているんです。

共創する学びづくりワークショップ:「専門家のマントを羽織ってみよう!」
ファシリテーター:青木幸子(昭和女子大学 現代教育研究所・所員)/緩利誠(昭和女子大学 現代教育研究所・副所長)

専門家のマントとは、専門家の役になった学び手が架空の依頼を受け、その課題に取り組むというドラマ手法の一つです。何かの専門家になりきることで、学習者は想像力を刺激され、夢中になって課題解決に没頭。この手法を私たちと一緒に、オープンラボ参加者に体験してもらうこと、これが午後の「ワークショップ」のねらいです。
「今回のワークのトピックは「水」。全ての生命を支える源、それが「水」。蛇口をひねれば好きなだけおいしい水が飲める、私たちにとっての当たり前は実は奇跡的なこと。今、世界で深刻化しつつある「水危機」は私たちの日々の生活とも深くつながっているのです。さぁ、みなさん、専門家になりきって「水」の世界を冒険し、人と水が織りなす物語を紡いでみましょう。」

そんなリードの後、参加メンバーは4グループに分かれ、自己紹介を兼ねて「わたしと水」の思い出話。あちこちから笑い声、笑顔が見えたところで、いよいよ「ワールドトラベリング」の始まりです。

「みなさんは、テレビ局のニュース番組クルーです。みなさんのミッションは<水>をめぐるニュースショー制作です。新聞・雑誌・ネット記事をもとに、ホットトピックを探究し、最後にグループごとにニュースショー仕立てでプレゼンです。」。参加者の皆さんの「えっ!」という声に応じ、ナビは続けます。「大丈夫です、みなさん、毎日TVやネットで、いろんなパターンのニュース番組に親しんでいらっしゃいます、ロールモデルはたくさんです。ニュースですから、アナウンサーがいたり、アシスタントがいたり、専門家がいたり、取材先にいるADさんがいたり…。形式も自由です。まずは私たちコクリ・ナビの青木・緩利がデモを行ってみまーす」。ということで、地下鉄中吊り広告で注目の「サラさんの物語」から、「井戸をめぐる物語」ニュースショー・デモをスタート。

ニュースショーのデモで一気にホールの雰囲気はなごみモードに。参加者のみなさんは俄然張りきりモードがアップ。配布した封筒の中をみて、「おー」「えー」「そうかー」など、あちこちから上がる歓声。
膨大な資料と格闘しながら作り上げたニュースショーのラインナップは「ついに始まった水道民営化」「温泉をめぐる物語~国際交流の交差点~」「バーチャル・ウォーターを知ってますか?」「水素水ってどんなもの?」。
番組制作時間60分、そんなタイトな時間の中で、各グループのガムシャラTRYの制作プロセスをご紹介。まずは、手分けしてニュース記事を読み、コンパクトに説明し仲間とシェア。全員の説明の後、印象に残ったこと、深堀したいことをウェビング。そこから、トピック、テーマを絞り込み、素材を生かして、どうやって「おいしい番組」に料理するかのディスカッション。メンバーの持ち味をどう生かすか?資料や記事、ホットなネタをどう使うか。今あるものを最大限に生かしつつ、新たなものを創り上げる…。基調講演の藤原大博士がいう「ブリコラージュ」が、今ここで、見事に現実化されていることに、大博士もご満悦。インタビュアーや専門家になりきることで、水世界へのモチベーションが一気にドライブされた参加者の皆さんでした。
ショータイムの後、リフレクション・タイムで語られた言葉をいくつかご紹介しましょう。「価値観の多様性を浮き彫りにするために、メリット・デメリットを上手に使っていることがよかった」「登場人物がアクチャルな現実問題を素材に、日常感覚で深堀してくれるので、ものすごく共感できました」「専門家の登場によって、新たな知見をゲットできワクワクしました」「メンバーで力を合わせるとこんなにすごいことが本当にできるんだ、うれしい驚きでした」。そして、多くのメンバーが語ってくれたのがこのフレーズ。「なりきることで、本気になった」「なりきることで、世界の見え方が変わった」と。

いろいろなハプニングやトラブルも、最後のみなさんの言葉がまるっとやさしく包んでくれた、オープンラボのワークショップ。オープンラボの一日を参加者の皆さんはこう語ります、「ワクワク楽しく、頭はクタクタ」。情熱・モチベーション・創造的野心、ポテンシャルの高いメンバーとの冒険の一日は、まさにジャズセッションのようでした。「現代教育研究オープンラボ2019」、いかがでしたか?それでは、ごきげんよう!
(文責:教育課題グループ 青木幸子・緩利誠)