昭和女子大学 現代教育研究所

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コア・プロジェクト

第1弾「食をめぐる学びの冒険」

2018.04.02

ごきげんよう。ようこそ、現代教育研究所メルマガへ。今回のトピックは記念すべき「コクリ・プロジェクト」の第1弾「食をめぐる学びの冒険」!ナビゲーターは緩利誠、青木幸子です。

そもそもコクリとは、今年度からスタートした現代教育研究所のコア・プロジェクト「Co-Creative Learning」の通称。教科・教室・学年、さらには学校を越え、さまざまなモノ・ヒト・コトと出会い、響き合いながら新たな学びを模索する、そんなクリエイティブな活動が「コクリ」なんです。

「ようこそ!学びの冒険コクリへ。ここは、ワクワク・ドキドキのトピック・仕掛けをたくさんつめこんだコクリ・ワールド(=Co-Creative Learning Session)。「食」をめぐる学びの冒険に、さあ、みんなで出発で~す!」

現代教育研究所(緩利誠・青木幸子)と跡見学園中学校高等学校のコラボ企画「Co-Creative Learning Session in ATOMI 2017」は、この言葉でキックオフ。

「おもしろくてためになる授業って?」
「ワクワクする問いの見つけ方は?」
「プレイフルでディープな学びって?」

そんな先生や生徒の声にこたえようと、プレイフル・ラーニング構想がスタートしたのは2016年。まずは先生方から、ということで、一年間、山口県S高校の教師たちと一緒にアクティブラーニングのデザインに挑戦。CMつくりやニュース・ショー、最初はとまどっていた先生たちも、みんなで一緒に創り始めると、どんどん夢中に。

とりわけ人気のトピックが「食」。鱧を使った新たな商品や新たなおせち料理(介護食おせち・アスリートのためのおせち…)など、魅力的なアイディアの数々が湧出。身近な素材をテーマに豊かな広がりと深さをもった授業アイディアが展開される中で、私たちは「食」のもつパワーに改めて魅了され、コクリ・セッション第1弾のトピックを「食」に決定。

そこからが鬼のようなリサーチタイム。新聞・雑誌・ネット・電車の中吊り…。「はっ」とした記事は切り抜いたり、印刷したり、書籍も購入したりetc…。リサーチ記事だけで段ボール3箱に!?そんなリサーチと並行しつつ、私たちが開始したのはマスター=専門家をさがすこと。生徒たちの心を揺さぶり、冒険への「問い」をインスパイヤーしてくれる専門家を探せ!

ということで、まずは、ジャンル決定からスタート。農業・農地に関するマスター、科学的に食に迫るマスター、海外の生産地に想いを馳せる契機を与えてくれるマスター、日本の古典と食をつなぐマスター、毎日の食を製造するマスターの5人に絞り込み、マスターたちとミーティング。
マスターたちは、個性的で魅力的、そして、みんな朗らか。マスターたちとの出会いで、生徒の頭とカラダが動き出すこと間違いなし。

ここでまずは、コクリのコンセプトをご紹介。いきなり冒険にでるのは、危険。そこで、まずは、半径五メートルの世界からスタートです。

とはいえ、自分だけの経験で何かを考えるのはやっぱり狭いし、時に危険。そこで、サポートしてくださるのが、5人の専門家(マスター)。マスターの肩に乗ったら見える地平は違うはず。

そして、コクリで最も大切なのが「センス・オブ・ワンダー」。毎日ひとつでいいので、「はっ」としたり「えっ」と驚いたりしたことを「はてなノート」にため込みます。

最後はみんなの見つけた「問い」をもとに冒険の旅にスタートです。あなたたちだけの世界に一つの冒険、さあ、どんなものに出会えるかな?勇気をもって最初の一歩を踏み出そう。

さあ、いよいよ、ポップでディープなコクリの冒険のご案内です。コクリの旅のイラストと、それぞれのセッションのミニミニレポートで全体像をご想像いただけると嬉しいです。

キックオフは9月18日。25名の生徒と15名の教師が跡見学園中学高等学校会議室に結集し、「チェックイン・アイスブレイク」の後、「食と聞いて思いつくこと」のシンキングマップつくりから始まりました。自分と仲間の経験・知識を手がかりに食の世界を広げ、皆でシェアした一行は食の世界の入り口に立ちます。
続く、ミッションは「ニュース・ショー」です。新聞・ニュース等、食をめぐるホットなトピックをベースにリサーチワークを行い、グループごとで探究の成果を「ニュース・ショー」としてプレゼンします。チョコからフェアトレード、フルーツから見える世界、野菜で学ぶ生物多様性、昆虫食ミドリムシから考える未来食、和食のヒミツ、フードロス。
6つの「ニュース・ショー」に生徒も教師も夢中になり、食世界へのモチベーションは一気にドライブされました。

第1回セッションは9月30日。テーマは「どこでどんな農作物を作るといいのか?~地域の農家をみんな幸せにする方法~」です。
専門家としておいでくださった生田清人先生のレクチャーは生産地と都市との距離によって生産物が変化する「チューネンの農業立地論」から始まりました。
ワークを通して考え始めた生徒たちは、アメリカの農業分布を前に、なぜ生産地がそのようであるか、資料を基に探究を続けます。食料生産と流通の仕組み、そして社会状況とのリンク、多様なアプローチから「農業」学んだ生徒たちのまなざしは大きく変容しました。

第2回セッションは10月14日。「大好きなパスタは科学的に解明できるか?~科学と料理のおいしい関係~」がテーマ。
藤田真理子先生のセッションは「ちりめんモンスターをさがせ!!」のワークからスタート。ちりめんモンスターをピンセットで分類する活動を通し生徒たちはカテゴリー化する手法を学んでいきます。
メインワークは大好きな料理を科学的アプローチすること。グループごとに料理を決め、リサーチしたものを他のグループにプレゼンしました。食べ物の向こう見えるものを科学的に探究する楽しさを物語るプレゼンが続きました。

第3回セッションは10月28日。「いい貿易ってなんだろう?~コーヒーカップの向こう側~」を探求するために、開発教育協会の伊藤容子さんが、ロールプレイを通してコーヒーの生産過程・価格決定のプロセスを考えるワークを行ってくださいました。
生産者になってみることで、コーヒーカップの向こうに見える世界を深く考え始めた生徒は言います。「生産地の人々が本当の意味で自立するために、私は何ができるのだろうか?考えたいです」「開発途上国の生産物価格の決定についてもっと知りたいです」と。

第4回セッションは11月4日。生徒たちにも大人気のジブリアニメを使ったセッションのテーマは「千尋の両親はなぜ豚になったのか?~ジブリアニメ千と千尋の神隠しより~」です。
中野貴文先生のサブカルを駆使したレクチャーに生徒は巻き込まれ夢中になっていきます。古典において、土地のものを食べることはどう描かれてきたのかをスタートに、ジブリアニメと中世文学のつながりに驚くことしきり。「アニメ・古典・食が見事にドッキングしてワクワクしました」と語る生徒たちは、食の世界と古典籍のつながりだけでなく、世界の文学における食とのリンクについても考え始めたのです。

第5回セッションは12月16日。専門家による最後のセッションのテーマは「加工食品はどのようにしてつくられるか?~企業努力の現場~」
ニチレイフーズの方から「出張工場見学」と称した冷凍食品の作り方について、クイズをまじえながら学んでいきます。教室にいながら、実際の工場見学でも見られない製造工程を動画やパワポで視聴した生徒たちは、毎日接する加工食品に対する見方が大きく変わったと言います。
「冷凍食品の知識をもとに、毎日の食生活を豊かで楽しいものにする工夫をしたい」と語る生徒たち。最後に行った五味識別テストで、味覚を鍛えることの大切さを始めて感じたという生徒たちは毎日の食に対する考え方を大きく揺さぶられたと言います。

夢中になって学び続ける生徒たちの姿は、ワークに参加する教師たちをも少しずつ揺らし始めていきました。
専門家のセッションを通じて、そして、毎日の生活の中で見つけた「問い」をもとに、自分たちの学びを共創、プロジェクト成果発表会にむけての冒険がスタートです。
はじめてのプロジェクトということで、プロジェクトの作り方や進め方についてのアドバイスを行いました。個別ミーティングとリハーサルを行って、いよいよ2月10日が本番。内容をコンパクトにまとめたものをご紹介しましょう。


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食をめぐる学びの冒険をおえた生徒たち。彼女たちのコメントすべてを打ち込んで、そこから浮上した言葉を抽出したのが次の図です。
「楽しい、おもしろい、考える、経験、参加…」。この生徒たちの言葉は「ポップでディープなコクリの旅」を目指した私たちにとって大きな喜びであり、同時に次のコクリの冒険をドライブする大きな力となりました!

ワクワク・ドキドキに満ち溢れた学びを目指す「コクリ・プロジェクト」、これからも続きます。第2弾に向けて、すでに動き出しています。ぜひご期待ください!
一緒に挑戦したいという方も大募集です。現代教育研究所まで気軽にお問い合わせください!

(文責:現代教育研究所所員 青木幸子・緩利誠)