昭和女子大学 現代教育研究所

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道徳教育研究グループ

武庫川女子大学フォーラムレポート

2019.02.13

『「特別の教科 道徳」を要に 学校・学級を真の人間教育の場にしよう』をテーマとし、武庫川女子大学を会場にして共催という形で出張フォーラムを開催しました。
本年度から小学校において「特別の教科 道徳」が完全実施となりました。新学習指導要領における道徳教育の目標は「自分の生き方を考え、主体的な判断の下に行動し、自立した人間として他者と共によりよく生きるための基礎となる道徳性を養う」と記されています。つまり、学校教育の基盤となるのが道徳教育です。
そこで、フォーラム参加者は、午前中に実践的基礎力育成のワークショップを体験し、午後には道徳教育の全国的な実態調査を踏まえて、道徳授業改善をどのように進めていけばよいのかについて、実践的、理論的に学ぶことで、モラル・アクティブ・ラーナーとして学び合う機会となりました。

● 実践的基礎力育成ワークショップ
テーマを3つ掲げ、各教室でワークショップを行いました。

1 道徳指導力を高めようー道徳の授業を実践する(メディアホール)
彦阪 聖子(堺市立西陶器小学校教諭)

2 集団学習力を高めようージグソー学習を実践する(研究所棟304)
友野 清文(昭和女子大学教授)

3 ことばの表現力を高めようー小学校英語を実践する(研究所棟303)
國分 有穂(昭和女子大学専任講師)

彦阪先生のワークショップに関しては当日の参加希望者が多く、急遽会場が変更されました。彦阪教諭からは、板書計画や話し合いの形態、話し合う方向性を明確にした道徳授業実践報告がありました。特に、教師と児童の信頼関係なくして道徳の授業は成立しないことをふまえ、核となる学級経営と道徳授業の関連を強調された実践報告となりました。

本研究所所員の國分先生からは、「英語発音リズムトレーニング」と「内容言語統合型学習」の2つの内容についての実践報告がありました。実際に発音トレーニングを体験したり、英語と他教科を結びつけた教材についてグループで話し合ったりするなど、参加者が体験したり活動したりする場面が多く取り入れられていました。小学校の英語の授業で実際に活用できる内容がたくさん紹介されていました。

以下からは本研究所所長であられる友野先生のワークショップに参加した黒澤が当日の様子を詳しくレポートいたします。

● 「集団学習力を高めようージグソー学習を実践する」
友野 清文(昭和女子大学教授)

(1) 協同学習cooperative learningと協調(協働)学習 collaborative learning 両者の共通点と相違点

(2) ジグソー法
①協同学習cooperative learningの背景と意義
②実践
テーマ「生命に関わる技術と倫理についての現状と課題」
・第一段階 ホームグループで集まる(ジグソーグループ)
・第二段階 エクスパートグループで集まり、理解を深める
・第三段階 ホームグループに戻り互いに教え合う

(3) ジグソー法とアクティブ・ラーニング(主体的・協働的な学習)
ジグソー法は、個別の学習とグループでの協同学習を組み合わせ、協同学習を「エキスパート活動」と「ジグソー活動」にわけ、学習過程が、個人間の競争的関係があると成功しないように構成されており、成功はグループの生徒間での協働的行動があって初めて実現可能となるため、生徒は学習に積極的に参加するように促され、能動的な聞き方(active listening)が成立します。さらに、全ての生徒はグループの仲間に、自分だけの知識の贈り物、つまりその生徒いがいからは得られない大切な情報、を持ってくる立場にあるため、自尊心や共感力も高まることが期待できます。
しかし、ジグソー法は、原理は単純そうにみえますが、実施には細心の設計が必要であるため、まず教師側の研修が不可欠であることを実感した体験でした。

● 平成30年3月に押谷研究室で実施した全国調査の結果報告
押谷 由夫(武庫川女子大学大学院教授)

押谷研究室では、平成30年度の道徳教育の取組及び先生方の意識に関する全国調査を行っています。調査対象校の選定は『全国学校総覧 2017年度』(原書房)より、全国47都道府県の全部の小学校・中学校から、およそ1割の学校を無作為に抽出し、アンケート用紙を送付するという方法を取っています。発送学校数は、3,336校。回収学校数は、981校。回収率は、29.4%でした。調査結果については、押谷由夫のホームページ(oshitani.mints.ne.jp/)をご覧ください。

● 実践事例発表:「考え、対話する」中学校の道徳授業をつくる
矢作 信行(帝京平成大学教授、元埼玉県川口市立前川小学校校長)

● 講演1:「特別の教科 道徳」における「主体的・対話的で深い学び」のある授業と評価
島 恒生(畿央大学教授)

今回の道徳教育改革に中心的に係わられたお一人である島先生から、今回の道徳教育改革の本来のねらいや、そのねらいを達成するための道徳授業の在り方について具体的な提案がありました。子どもを主体として、子ども自身が内に持っているよりよく生きようとする力をいかに引き出す授業をするか。そして子どもたち自身が自尊感情をしっかり持ってこれからの社会を生き抜いてくれるための道徳性の育成はいかにあるべきかについて、わかりやすくお話しされました。参加者は共感的に聞き入っていました。

● 語り合い(質疑応答)の時間
「特別の教科 道徳」にいかに取り組むかー教科書の使い方、多様な指導方法、評価の工夫等
コーディネーター 押谷由夫
コメンテーター  島恒生、矢作信行、彦坂聖子

参加者から休憩時間にいただいた質問に答えるという形で進められました。その大きな議題に「特別の教科 道徳」の評価がありました。彦阪先生から自分自身が具体的に取り組んでいることについてお話があり、矢作先生からも具体的な取組の事例についてお話がありました。学校現場で、迷いつつも具体的に取り組まれている実態が明らかになりました。また島先生からは、講演でお話しできなかったことも含めて丁寧にお話しされました。質疑応答では授業のねらいに係る子どもたちのよさの育ちをどのように評価するのかについて、活発な質疑応答がなされました。

● 講演2:誰もが「特別の教科 道徳」の授業を効果的に行うためのポイント
押谷 由夫(武庫川女子大学大学院教授)
道徳教育の改善については様々な課題がありますが、「特別の教科 道徳」の目的を生かしてどのような効果的指導を行うかに絞っての話しでした。そのポイントは、道徳教育の要であるということを常に意識して授業を行うことによって、学級経営と密接に関連づけることが大切であるということでした。道徳授業における学びは、道徳的価値意識の覚醒が主となることから、それを日常生活や様々な学習活動でいかに具現化するかが問われることになります。そのための具体的な学習指導案の工夫について提案がありました。

◎初めて関西で行われた教育フォーラムでしたが、関西圏から小中高等学校の先生方、教委員会関係者、そして昭和女子大学の教員と武庫川女子大学の教員と学生など、350名を超える方々にご参加いただき、盛況のうちに閉会となりました。なお、午後の実践事例発表や講演等の参加者が予想を上回り、入場を制限させていただきました。資料を配布できなかった皆様には、深くお詫び申し上げます。
(文責:道徳教育グループ 黒澤幸子・押谷由夫)