昭和女子大学_現代教育研究所_EduMate_Vol1
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のか、それらを吟味してみれば、自分の強みが浮かび上がってくる可能性があるわけです。教師には、次の学びと成長につながるポジティブ・フィードバックができるよう、子どもと対話することが求められるのです。ネガティブ・フィードバックだけでは子どもの萎縮を招きかねません。が言えます。子どもの問題行動や逸脱行動が大人や教師の目に留まり、そこに意識を集中させると、大抵の場合、その子の「あら探し」がはじまり、ダメな理由だけが取り沙汰されるようになります。叱責したり、罰を与えたりする機会は増え、管理と統制は強まりを見せるようになります。不信と不満で渦巻く関係性は、果たして子どもの幸せに結びつくでしょうか?当然のことながら、答えは否です。信頼関係の構築が不可欠であることは言うまでもなく、やはり共感、受容、承認、励まし、勇気づけなどの丁寧な対話に基づくケアリングます。自分では処理しきれない心の悩みや葛藤、コンプレックスを子どもは抱生徒指導に関しても、同じこと(心砕き)が必要になり実際のところ、日常生活において、えており、それが問題行動になって表出されている可能性の方が高いです。しかも、子どもは「いつも」問題行動や逸脱行動を起こすわけではありません。「例外」は常に存在するわけであり、大人や教師は「よいところ探し」に気を配り、成長の「種」 を見つける必要があります。また、感情を適切にコントロールし、逆境や困難からしなやかに立ち直る「レジリエンス」に関する知識やスキルを身につける場と機会を子どもたちに用意する必要があります。あわせて、子どものよさや強みを発見・活用しながら「ウェルビーイング」を高める場と機会が用意される必要もあるでしょう。不思議なことに、これまで「幸せのための教育」はあまり主題に掲げられてきませんでした。日本国憲法には幸福追求権が定められていますが、教育基本法や学校教育法には「幸福」という文言は含まれておりません。現代社会を生きる子どもの身体的健康・精神的健康・社会的健康は決してバランスが取れているとは言えず、若者の主観的幸福度は低いのが現状です。また、多くの子どもが学ぶことの意味や達成を実感できないままでいます。各種調査結果からは、様々な不安や心配に苛まされ、失敗することや傷つくことを恐れるがゆえに、挑戦することを避ける子どもの姿が浮かび上がってきます。ポジティブ心理学は「成功するから幸せになるのではなく、幸せだから成功する」ことを明らかにしてきています。今・ここでの生活、そして、これからの生活を幸せに生きていくうえで、何を学び経験する必要があるのでしょうか?他方で、今の学校で主に教えてくれていることは何でしょうか?両者を対比したとき、どこに不一致を見出せるでしょうか?私たちは人生において大事なことを見落としているかもしれません。教科学習を中心とする学習指導と生徒指導は車の両輪ともいうべき関係にあります。いずれも「私と私たちの幸福な生き方・あり方の選択と創造」という観点から再考し、デザインし直す必要があることをポジティブ教育は提唱します(図)。私たちは、どのように生きていけば幸せになれるのでしょうか?そのための教育のあり方を、ぜひ一緒に探究してみませんか?13◇緩利 誠(昭和女子大学総合教育センター専任講師)図:ポジティブ教育の二重らせん構造  (http://www.ipositive-education.net/)     ◇

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