コクリ2018
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 いかでかは、世の常には思ひ聞こえさせ給はん。千人の親の御心地にも、「いかでかは、中にだに、いとかからんは、すぐれておもほしかしづかざらん」と見えたり。このごろ、御年二十にいま二つばかりや足り給はざらん。二位の中将とぞ聞こゆめる。なべての人だに、かばかりにては納言にもなり給ふべきぞかし。まりこの世のものとも見え給 されど、この御有様の、あはぬに、よろづをおぼし怖ぢたるなるべし。これをだに、母宮は、「児ちごのやうなるものを」と、あえかにいまいま第3回セッションは、竹取物語かぐや姫の昇天の場面からスタートです。かぐや姫が地球の服︵十二単︶を脱ぎ、月の都の衣装︵天の羽衣︶に着替えることに注目。「ある服を着るということは、ある集団に属する人間になることを意味する」という中野先生のレクチャーを受け、「天の羽衣を着ることが意味するもの」をグループごとにディスカッション。そこから出てきた「心をなくすとは?」という問いをさらに深めていきます。続く話題は平家物語「那須与一」。扇の的を射るとき神仏に祈った与一が、老兵士を射るとき、間髪入れずに射ったのはなぜ?そこから先生は武士が戦闘集団・暴力集団であったという最新の研究成果を披露。そして、「ではなぜ武士は戦場で美しく派手な鎧を身につけていたのか」でディスカッションは盛り上がります。それを受けて中野先生は、派手な鎧は朝廷の意思と権威の象徴として機能していたことをレクチャー。ナチスドイツの軍服にも触れ、「ある服を着るということは、ある集団に属する人間であることをアピールするものである」というまとめは、竹取物語ともリンクし、みんなの知的好奇心を刺激します。最後の話題は「身体の中で最も衣に近いものは何か?」から。「髪」と答えた生徒の発言をベースに、髪は自由にコントロール可能な存在であるがゆえ、社会的に自らをアピールする機能があることに言及。源氏物語の若紫、ミハイル・エンデのモモやアルプスの少女ハイジの話にみんなは歓声。豊かな髪を源氏によって梳かれた紫の上が、そのまま源氏の妻として、大人社会に取り込まれることを意味するという説明には、かすかな溜息。「ある服を着るということは社会秩序の中に組み込まれることを意味する」というメッセージは自分たち自身を見つめ直すきっかけとなり、「自由に服を着る意味」を探究し始める私たちでした。古衣典】【    6「那須与一オリンピックなら金メダル」与一着用『萌黄糸威大鎧』は兜と合わせると30キロ、それを着ながら扇に命中。「オリンピックなら金メダルだぁ」と休憩タイムも盛り上がる。「与一の重籐弓矢の長さってどのくらい?」カラダを使って長さの再現に挑戦です。THEMA:魔法少女は天女の羽衣を身にまとうか?~衣装で読み解く古典文学~DAY:2018/07/14(SAT)Session.2中野 貴文先生[東京女子大学  人文学科]中世古典文学の専門性をベースに、得意なサブカル知識フル動員で、生徒を古典の世界に誘ってくれる中野先生。クオリティの高い、クールなパワポと先生の語り口で「古典大好き生徒達」激増中。

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